備忘録

夢とか白昼夢とかのメモを薄くしたり濃くしたりしたやつだよ。カルピスと一緒だね。

鯨と海上古代都市

またしても追われている。これも仕事の一環なのかもしれない。

長い髪を帽子に隠して変装した少女と、都内の某私鉄ホームで待ち合わせていた。電車から飛行機に乗り換え、手首につけたPDAで他所にいる仲間とやり取りする。敵に見られてもいいよう、文面を工夫し、あらかじめ決めてあった信号で送りつける。今回の我々の任務は、鯨を敵に奪られないように、海まで送ることだった。

飛行機が着陸するとそこは大河のほとりで、巨大な鯨が泳いでいく。小さなボートに乗り込み、伴走するように河を下るが、現れた大きな滝壺に落下したせいではぐれてしまった。急流に揉まれるうちに失神したのか、気づくと海上にいた。晴天の下、遠くに煌めくものが見える。ボートを漕いで近づくと、それはアステカ黄金文明の名残であった。

写真でしか見たことがないのだが、フィリピンの家屋に似ている。遠浅の海の上に木組みの足場があり、その上に築かれた遺跡なのだった。水中眼鏡で覗くと色とりどりの熱帯魚が泳ぎ、岩場の集光模様が美しい。例の鯨はどこに行ったかわからなかった。

突然、建物の陰から巨大なライオンが現れる。急いで壁と屋根のついたボートに乗ろうとするが、私は間に合わず、海に飛び込む。ライオンは泳いで後を追ってくる。プロペラ音が聞こえたかと思うと、上空からヘリコプターが急降下し、緑の髪の人が私に手を差し出した。これがたぶん、先程から通信していた相手なのだろう。鯨がどこに行ったのか、ここの住民に訊くようにとの指示を受ける。まだ人が住んでいるとは驚きだ、こういうものは住めないようになっているのが普通ではないだろうか。

陸地で降ろしてもらってから再び舟で岩陰に着くと、出迎えた子どもたちがお菓子をくれた。こちらの仲間も、いつのまにか全員、子どもになってしまっている。話しかけても要領を得ないのだが、どうやらここに大人はいないらしい。道標を失って、途方にくれた。