備忘録

夢とか白昼夢とかのメモを薄くしたり濃くしたりしたやつだよ。カルピスと一緒だね。

夢の話

 小さな頃は、夢を見る方だった。将来の目標ではなく、レム睡眠時に見る夢である。これは誰でも見るが覚えていないだけだという。だから正しくは、私は見た夢をよく覚えている方、ということだ。殺されたり追いかけられたり、どこかから落ちたりと、恐ろしい夢ばかり見たものだった。現実の生活では明るく健やかな幼少期を送った記憶があるだけに、考えてみれば気味が悪く不思議である。

 最近では夢をあまり見ないようになった。思い出せないようになってきた、というべきかもしれない。この歳になってみると夜に見る夢よりは、うたた寝をしているとき、曇りガラスの絵を重ねたように現実に夢が重なって見えることが多い。またそれとは別に、はっきりと目が醒めた状態で一瞬だけ夢を見ることもある。あまりに短い上、舟を漕ぐこともないので、夢を見ていることはおそらく誰にも気づかれない。これらは白昼夢の類であろう。

 それが今朝、起き抜けに私の耳元に響いていたのは「いちにちいちぜん、みっかでさんぜん」という、有名な「三百六十五歩のマーチ」の替え歌であった。久々に見た夢のなごりではないだろうか。部屋には私しかいないし、私はこの替え歌を知らなかったのだ。

 夢には音声がないが、言葉の意味や音の旋律は残る。感覚としては、映像が一通り頭に流れた後で、補足として音声も渡される、という具合だ。そういうわけで、夢の内容を思い出せなくとも、キーワードや音楽が耳に残ることがあり、今回もまさにそれなのだった。

 「いちにちいちぜん、みっかでさんぜん」

 字面を見ていないのでわからないが、なんとなく「一日一善、三日で三善」と書くのではないかと思う。ふと気になって調べると、三百六十五歩のマーチは3番まであるようで、その2番に「百日百歩、千日千歩」という歌詞がある。三歩進んで二歩下がっているにしては、なかなかの歩数である。666歩と少しはどこで稼いできたのだろうか。