備忘録

夢とか白昼夢とかのメモを薄くしたり濃くしたりしたやつだよ。カルピスと一緒だね。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

刺された子

心臓のあたりを刺したのだろう。 薄暗い書斎である。微かな陽光が、宙の埃を光線のように見せていた。友人は少女と向かい合い、私は跪いて少女の後ろ姿を見ていた。友人の顔は逆光でよくわからない。 正面からなのでうまくいかなかったのか、すぐには死なず…

魚を叩きたくないおじさんのことなど

・「天は大魚を叩くなり」と言って大魚を叩くよう言われたおじさんが、それは嫌だと泣きながら拒否する おじさんに命令しているのは漢詩の挿絵に入っている仙人のような人であった。おじさんは魚を可愛がっていたので、殺したくなかったらしい。叩くというの…

蛇口から顔

幼稚園から小学校にかけて、風変わりな老人のアトリエで、絵を習っていたことがある。習ったといっても技術を教えてくれるわけではなく、週に一度アトリエに行っては、好きな絵を描いて帰ってくるのだった。生徒たちも、絵というよりは脳味噌のような迷路ば…

空を飛ぶのと同じことの話

放置していた携帯電話を充電すると、不在着信が入っていた。しばらく疎遠になっていた友人からであった。 折り返しの電話をかけると、今度は相手が出ない。留守電に残すほどではないと思って一度切ったが、しばらくするとやはり気になり、結局メールした。着…

デスマスク体のことなど

・デスマスク体 ですます体のことかもしれない。 慣れの問題なのだろうが、ですます調は冗長に感じられるので苦手だ。しかし「苦手だ」も「苦手です」も大して字数は変わらないので、まあ印象の問題だろう。 翻訳物でこれにぶち当たると、であるだ調で別の訳…

追われる少女と蛙

何か取り返しのつかないことをしてしまったようだった。 追われる身として、目立つ方法は避けたかった。彼はトラックの荷台に隠れてどこかに行こうとするが、結局逃げられない気がして降り、そこから徒歩で最寄りの駅に向かう。当日の乗車券をぎりぎりのとこ…

人を食べる紳士のことなど

・「犬を食べるんですか?大丈夫です、私は人間を」と紳士にフォローされる 私が犬を食べると言ったらしく、それに「自分は人間を食べるから犬くらい気にすることはない」と言ってくれたようだ。 犬を食べたことはないが、食べてみたいとは思う。猫も食べて…

茅の輪くぐり

何の研究施設だろうか。要塞のように大きく、ブリューゲルのバベルの塔を下部だけにして、白くしたような建物だった。辺りにはこれのほか何もなく、一面は盆地のように少し傾斜のついた草原だった。空気の感じから、標高が高いのだなと思った。寒かったのだ…