人を食べる紳士のことなど
・「犬を食べるんですか?大丈夫です、私は人間を」と紳士にフォローされる
私が犬を食べると言ったらしく、それに「自分は人間を食べるから犬くらい気にすることはない」と言ってくれたようだ。
犬を食べたことはないが、食べてみたいとは思う。猫も食べてしまいたいくらいかわいい。去年は兎とカンガルーを初めて食べたのだが、兎は鶏肉のような食感で、カンガルーは牛肉に似ていた。今年は機会があれば、牡丹鍋を食べてみたい。それにしても、肉を花に例えるのは面白い。例えば人間の肉なら、何の花だろうか。
しかしよく考えると、「人間を食べるので大丈夫ですよ」と言われても、むしろ危機感を煽るだけではないか。
・パネルオーザーの講演を聞く
大学の講堂だった。パネルオーザーとは何かの学会の司会者を指すらしいが、これも存在しない言葉のようだ。
こうした場所で話を聞いていると、気持ちよく寝てしまうことがある。わざわざ聞きに行っているときはもったいないのだが、眠気には抗えない。
重力に負けて床に寝そべるのも良い気分であるが、一番快楽を感じる惰眠は、乗り物でのうたた寝である。立っていても舟を漕ぐことがある(そのため膝が抜けて転びかける)というのに、着席していればなおのことだ。まあ夏の午睡も捨て難いが……。
昔は揺れに弱く、車に乗るとすぐ酔ってしまう子どもであった。それが今ではこのくらい鈍くなったのだから、歳もとってみるものである。
・ナミムシが室内に入ってくる
凡百の虫というニュアンスだった。平均的な並みの虫なのだろうが、見たことはなかった。
「虫」とはもともとマムシのことで、つまり小さな生き物全般を指すらしい。「蛇」が虫偏なのもそういう理由なのだろう。昔読んだ児童文学だか絵本だかで、ねずみ虫とかとかげ虫とかいうのが出てきたのだが、私ももう少し小さければ虫に分類されたかもしれない。なかなか愉快な言い回しではないか。