備忘録

夢とか白昼夢とかのメモを薄くしたり濃くしたりしたやつだよ。カルピスと一緒だね。

人面瘡のことなど

・ソファの横でポンプキンおじさんが死にかけている

  というよりもう死んでいたかもしれない。大きな流木のごとき姿で、息をしているようには見えなかった。横のソファは、おじさんが座るためにとってあるのだが、自力で座ることはまず無理であろう。

  ポンプキンおじさんとはいま初めて知り合った。知り合ったというか、向こうで私を認識できているか定かではないため、「いま知った」が正しい。私の隣のソファに座る人が名前を教えてくれた。パンプキンではないのか? と思ったが、カボチャ的な要素は見当たらないので、ポンプキンで合っているのだろう。

 

・水族館のサメとして生まれたが大きくなりすぎて処分される

  こっちだって好きで水族館に生まれたのではない。もっと言えば、好きでサメに生まれたわけではないのだ。大きくなれと育てられたはずだったが、いざなってみるとこの仕打ちである。もうサメはこりごりだ、と思って今生では人間をやっているのかもしれない。少なくとも2017年の日本では、大きくなりすぎたからといって人間を殺処分にすることはない。

 

・マガンを持っているので顔を交換できる

  魔顔と書くらしい。掌に人面瘡がついていて、それで顔を撫ぜると人間の顔になる。では普段はどんな顔かというと、犬のような、鹿のような、鼻づらの長い動物だ。

  人面瘡といえば、映画だかドラマだかを幼少期に見た。両親は見せた記憶がないらしいが、私のきょうだいも覚えているというので、勘違いではなかろう。当時は人面瘡という言葉を知らなかったが、肩に生えた顔がだんだん成長するのは恐ろしかった。私に生えてきたら早いうちに切除しなければ、と強く思った。

  人面瘡には人格があるだろうか? 口はきけるのだし、案外同じ身体を持つもの同士、仲良くやっていけるのかもしれない。食事の取り合いになる可能性が高いが、胃袋を持つのは私なので説得もできよう。