備忘録

夢とか白昼夢とかのメモを薄くしたり濃くしたりしたやつだよ。カルピスと一緒だね。

換気扇と蛙のことなど

・4m四方ほどの白い小部屋。家具はない。正面奥の壁に換気扇が付いているほか、窓もなかった。

換気扇の中には両手で持つほどの大きさの、茶色の蛙が入っていて、私が覗き込んでも微動だにしない。見ていてなんだか嫌な気持ちになったが、換気扇に対してなのか、蛙に対してなのかわからなかった。私のすぐ左後ろには黒髪でおかっぱの少女(といっても高校生くらいには見えた)がいて、声を上げる。

「かーいのがかーいんじゃない?」

一瞬わからなかったが、「怖いのが怖いんじゃない?」と言ったようだ。私の恐怖心が蛙のかたちをとっているらしく、怖がることが怖いのだ、という指摘であるようだ。

アマガエルは、ブローチのようにすべすべしていて可愛い。昔は近くの池でオタマジャクシを捕まえては、育てたものだった。米粒を食べるのに口を開くさまは、見ていて飽きない。脚の生え始めが一番ワクワクした。

ポケットモンスターにオタマジャクシのキャラクターがいるが、あの腹のグルグル模様とあの透けた内臓が頭の中で一致したときは少しゾッとした。

 

・「知らないフリをしている方が犠牲がない。生贄は、どこの国にも必要だしね」

小学校低学年くらいの少年が岩の上に腰掛けている。岩が白く、空が抜けるように青い。風はなく穏やかな暖かさだったが、まだ冬、あるいは早春だったと思う。

少年の身なりはおよそ平凡で、夢から醒めた途端に忘れてしまったが、長いボロ包みを抱えていたのは記憶している。少年はそこから向こうのマンションを見てそう言った。それは私が子どもの頃住んでいたマンションだったが、この角度から見たことはないはずだし、どうしてそれとわかったか不明である。

醒めたとき、言葉よりも雰囲気の方が印象に残り、何故だか修学旅行で奈良に行ったときの気候を思い出した。空気は冷たかったのに、日差しが暖かく、早春武を歌いながら寺や古墳を巡ったことを楽しく思い出した。